団体沿革



 2002年に慶應義塾大学の「ファッションビジネス研究会」から独立する形で設立。2009年からESMOD JAPONと提携した授業を開始し、2010年から毎年ショーを開催している。2012年にインカレ化し、今年度は合計で120名程度の部員が所属。社会に対する問いかけや主張を「服」や「ファッションショー」を通じて表現する。


私たちが“ファッションショー”という媒体を選択する理由



 私たちのファッションショーは団体と社会を繋ぐコミュニケーションの手段である。あらゆるものがその一回性を失い、何度も繰り返し再生される現代。私たちは「ある瞬間」を「体験」することにこだわり、実際に観て肌で感じる、ファッションショーを通した表現と意志の表明を行う。

 服と人間が一体となって風をはらみ、動いている姿は美しい。大量生産・大量消費が加速し、何かしらの“媒体”を通して服を見ることに慣れてしまっている現代において、こうした服の本来の姿を忘れかけてはいないだろうか?私たちKeio Fashion Creatorが“ファッションショー”にこだわる理由の根本には、これらの認識と問いかけがある。服は身体の最も近くで自分を守り、同時に力を与えてくれる存在でもある。人間が纏うことでいきいきと輝く服本来の姿と、服を纏うことで私たちに与えられる強さを伝えていきたい。

 同時に、“ファッションショー”という形態は、異なるバックボーンを持つ部員が織りなす個人的なストーリーを“一つの物語”として完成させる舞台である。部員それぞれの想いや考えと団体が社会に向けて発進する主張、その双方がファションショーを通して一つになることで、より強いメッセージを発信できると考える。


MONTAGE ~記銘の縫合~



 映画は複数のカットを断続的に映し出すことによって物語を前進させる。その上で、本来完璧な形で存在した『完成した一つの大きな物語』は映画というシステムに落とし込む上で意図的に断ち切られ、断片的に撮影される。すなわち、カメラのカットとは物語を切断する行為であると言える。

 そして、カットによって分断された物語は編集の際に再度繋ぎ合わされるわけだが、それは単純にカットを順番に流すという行為にとどまらず、様々な技法を用いてカットを“縫合”することによって断片的であった映像がまた一つの大きな物語として蘇る。そこで用いられるカットとカットをつなぎ合わせ、物語を前進させる編集技術のことを映画用語で“MONTAGE”と呼ぶ。

 私たちはMONTAGEという映像技術と私たち自身の人生の在り方に共通点を見出した。
 映画が本来『完成した一つの物語』であるのと同じように、私たちの人生もまた俯瞰的に見れば『一つの大きな物語』なのである。しかし、生きていく中で私たちはしばしば社会の不条理や不安感によって苛まれ、もがき苦しむことがある。

 そのような時、私たちはまるで自分の人生がそこで終わってしまうのではないかという感覚さえ覚え、行先の見えない状況に強大な不安を覚える。一本の線のように止まることのない人生の中でも、幾度もの節目、すなわちカットを経験するわけだ。

 しかし、私たちはそれでも前に進み続けなくてはならない。
 その時、憔悴した私たちを次のカットへと押し進める何かを、私たち誰しもが心の中に抱いている。
 そのような心の中で変わらずあり続ける大切な何か、すなわち“記銘”を、今年度私たちは映画の中から探し出し、衣服として表現する。

 そうした記銘の縫合される場としてのファッションショーにおいて、ご覧いただく皆様の人生においても貴いカットとなり、あなたの人生を押し進める契機として存在できるよう活動して参ります。